2019-01-01から1年間の記事一覧
ひげ黒の大将の奥様は、人に劣っている方ではありません。 世間の評判は良く、もの静かな美しい方です。 ただ、以前から、もののけ、悪さをする霊のせいで正気を失うことがあります。そのため夫婦仲は冷めています。 (この時代、原因不明の病はもののけのせ…
尚侍になった玉蔓。でも宮中には行かず自宅勤務というかたちです そのせいか、夫のひげ黒の大将は昼間も玉蔓の部屋に入りびだっています。(←ちゃんと仕事に行けよ) 宮中から玉蔓に用事がある女官たちが頻繁に来ますが、大将が部屋の隅に隠れているのが女官…
「このことが帝の耳に入ったら恐れ多いことだ...しばらくこのことは人に話すな!」 源氏の君、かなり狼狽しています。 何事かというと 玉蔓、結婚することになりました。 いや、正確には、結婚せざるを得なくなったといいますか。 相手はひげ黒の大将です。 …
いよいよ玉蔓の宮仕えの日が近くなり、求婚者たちは手紙を取り次いでくれている玉蔓の女房に「なんとかしてくれ」と頼み込んでいます。女房たちは「滝をせき止めろというより難しい注文です」と言っています。 求婚者のひとり、ひげ黒の大将は玉蔓の実の父の…
源氏の元に戻った夕霧。以下、二人の会話です。 源氏「玉蔓は宮仕えに乗り気ではないのか...でも、冷泉帝が大原野に行幸された時にお顔を見ているはず。帝を見れば、宮仕えを嫌がる女などいないだろう」 夕霧「しかし、冷泉帝にお仕えするとなると、中宮さま…
もうすぐ喪があける九月のある日、夕霧が源氏の使者として玉蔓の元を訪れます。夕霧も祖母の大宮の喪中ですが、祖母に思い入れが深いので、濃い色の喪服です。 夕霧と玉蔓、当初は「きょうだい」と言われていたので玉蔓が直接対応していました。今はそうでな…
フジバカマの花は平安時代、喪服の色の花と言われていました。 成人式を終えた玉蔓、さっそく宮仕えに...といきたいところですが 三月に実の祖母、大宮が亡くなり、玉蔓は喪に服するため宮仕えは延期に。 九月に喪があけるので宮仕えは十月からとなりました…
源氏の君も内大臣も「玉蔓は実は内大臣の娘」ということは公式に言っていません。 でも、世間に知れわたってしまいました。あの近江の君もどこからか聞きつけて、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)や兄弟たちに不満をぶつけます。 「父上は姫さまをひとり迎…
源氏の君が話があると...何だろう? あいつの息子と、オレの娘の雲井雁(くもいのかり)の縁談かな? まあ、あちらから話があったら折れてやってもいいかな... と思ってやってきた内大臣。しかし、切り出されたのは玉蔓の話。 えっ、あの子が...!? ずっと…
個人的なお知らせですみません。 風邪をひいてしまったので、しばらく更新をお休みします。 熱はないですが、どきどきポーッとしている時があります。 何より喉が痛い 早く医者に行きたいのですが、天気が悪くてなかなか行けない状況です。 元気になりました…
ところで、玉蔓は女性の成人式である裳着(もぎ)をまだしていません。 年明け二月に行うことになりました。 裳着で一番大事な役目に腰結(こしゆい)というのがあります。 源氏の君としては、腰結を内大臣にしていただいて、玉蔓が実は内大臣の娘であること…
冷泉帝の行列が来ました。 並ぶ者無き立派な横顔。玉蔓、じっと見つめてしまいます。 源氏の君にお顔が似ていらっしゃるけど、帝はもう少し威厳があるわ。 宮仕え、帝の愛がどうのこうのではなく、ただの女官としてお仕えするにはいいかもしれない... 他の男…
養女の玉蔓(たまかずら)への恋心をどうしたものか... いろいろと考える源氏の君は、玉蔓を尚侍(ないしのかみ)として宮中へ宮仕えさせようと考えています。 玉蔓としては源氏から離れるいい機会なのですが、尚侍という立場は考えものです。 尚侍は女官と…
中宮さまをお見舞いした源氏の君。他の女性たちもお見舞いにうかがいます。 玉蔓のお部屋にやって来ました。源氏と玉蔓は親しげに話をしています。 源氏のお供についてきた夕霧、玉蔓の顔が見えないかなと、すだれをそっと引き上げます。 見えました。まるで…
夕霧は源氏に挨拶をすると、三条に住む母方の祖母が不安そうにしているということで、源氏の手紙を持って三条へ向かいました。今夜は三条にお泊まりです。 夜になっても風は吹き荒れています。それもあって、心が落ち着かない夕霧。 紫の上の顔がちらついて…
野分とは、今で言う台風のことです。 今と違って天気予報などありませんから、当時の人は怖かったと思います。 旧暦八月、お庭の手入れをしていたら、突然の強い風。みんなおろおろしています。 夕霧が風のお見舞いに六条院の春の御殿にやってきました。 扉…
「聞いたか、内大臣の今姫君(いまひめぎみ)の話」「ああ、聞いた聞いた」 このところ世間の人は何かと近江の君のうわさをしています。そんな状況を源氏の君はこう言っています。 「どういう子なのかちゃんと調べず引き取ったのがいけないのだ。それでいて…
さて、近江の君は早速今夜にでも弘徽殿女御にお会いしようと、まずは手紙を送ります。 「お近くにいらっしゃりながら、対面できなかったのが誠に残念です。お顔は存じ上げませんが、姉妹であるとは恐れ多いことです。ああ、恐れ多い、恐れ多い」 ...で、肝心…
内大臣、今度は最近引き取った近江の君のお部屋に行きます。 「小さい目、小さい目、出て来なさーい!!」 あら~すごろくをやっているようですが、ずいぶん早口で... 内大臣、正直言うと「なんでちゃんと調べもしないで、こんな変わった娘を引き取ったんだ…
内大臣は思いたって、娘の雲井雁(くもいのかり)の部屋へ行きます。 雲井雁はお昼寝をしています。女房たちも休んでいるので、内大臣が来たことに気が付いていません。 パチン。内大臣が扇を鳴らした音で目が覚めました。 「うたた寝はいけないと注意してい…
さて、内大臣は源氏の君が今うわさになっている姫の話をしていたと聞いて 「その通り。我が家では山賊の子を引き取って育てている。まったく、普段悪口など言わない源氏の君だが、この屋敷の話になると悪口を言うのだから...」 おやおや、姫君を山賊の子とは…
最近源氏の君は玉鬘に、琴のお稽古という名目で、よく玉鬘の部屋に行っています。 源氏自身、玉鬘への恋心をどうしていいか困っています。自制しなければと思いつつ、玉鬘に思いを訴えてしまう。で、反省して、また訴える。そんなところです。 どうして、し…
とこなつ...ずいぶんトロピカルなタイトルだな。はじめて読んだときそう思いました。 でも、常夏ってなでしこの花の別名だそうです。ちなみに、なでしこは撫でし子、かわいい子という意味もありました。 ずいぶん暑い日、源氏の君が涼んでいるところへ夕霧が…
一方、玉鬘の実の父、内大臣(ないだいじん)はといいますと、 内大臣は娘たちが思うようにうまくいかないことを残念に思っています。 冷泉帝に差し上げた娘は残念ながら后の地位を得ることができませんでした。それなら東宮(とうぐう、皇太子のこと)に雲…
源氏の君は、娘の明石の姫君の教育に物語は必要と考えています。そのため、読ませる物語の内容も吟味しています。 「変な色恋の物語は読ませないように。秘密の恋がステキとは思わないまでも、世の中にはこんなことがあるんだと思われてはいけない」秘密の恋…
このところ長雨が続いています。六条院の女性たちはさまざまな物語を読んで過ごしています。 玉鬘は物語にふれたことがないので、熱心に読んでいます。いろんな話がありますが「私みたいな者の話はないわね」と思っています。 このころ人気だったのは住吉物…
五月五日、花散里(はなちるさと)が住む夏の御殿の東側で、騎射競技が行われました。夕霧(ゆうぎり)が若者たちを連れて来て、華やかに行われます。 当時の男子貴族って、身につけておくべき教養が沢山あって以外と大変です。和歌や漢詩は詠むだけでなく、…
玉鬘に会いに来た蛍宮。といっても、すだれごしの対面で、言葉も女房が間に入って伝えます。 あれこれと想いのたけを訴える蛍宮。なんと答えていいやら戸惑う玉鬘。そこへ源氏の君が入って来て、さっと光る物を放ちました...蛍です。 夕方、蛍を沢山集めて布…
玉鬘(たまかずら)は困っています。 養父の源氏の君は、女房たちがいる時は父親として振る舞っていますが、女房たちがいない時は恋心を訴えてくるのです。せめてお母さんがいてくれたら...我が身の不運を嘆いています。 源氏の君は一度想いを告白してしまっ…
雨あがりの空気がしっとりした夕方、源氏の君は玉鬘の部屋にいきます。女房たちは下がって、ふたりきりで話をします。 玉鬘を見ていると、母の夕顔の面影があります。 「初めて会った時はそれほどとも思いましたが、あなたはお母さまに似ていらっしゃるので…