2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧
さてさて、須磨の近く、明石には明石の入道と呼ばれる方が住んでいました。この方、もともとは上流階級の方で、なんと源氏の君の母桐壺更衣のいとこなのです。しかし、今は明石の地の豪族として暮らしています。 「光源氏の君が朝廷から追われて須磨にいらっ…
朧月夜は世間から物笑いになっていましたが、右大臣が「立場は女官なのだから」と朱雀帝や弘徽殿大后に申し上げて、七月に再び出仕しました。確かに、尚侍は正式な妃ではありませんから。 でも、朧月夜はいまだに源氏の君を想っています。 そんな朧月夜に対…
いよいよ出発の日。その日は紫の上とゆっくり過ごしました。夜遅く、月が出た頃にひっそりと出発します。紫の上は「惜しくないこの命に代えてもいい。目の前の別れを引き延ばしたい」と哀しんでいました。 たどり着いた須磨の住居は海から少し入った山の中。…
源氏の君は所有している領地や荘園、牧場などの名義を紫の上の名義に変更して、紫の乳母の少納言に管理の仕方を教えておきます。 紫の上の生活を安定させる対策でしょう。それに、右大臣一派が何かにかこつけて源氏の君の所領を没収することも考えられます。…
紫の上の父宮は、紫の上が源氏の君と結婚してから娘と手紙のやり取りをしていました。しかしこの頃源氏の君が官位を剥奪され、流罪になるかもしれないとうわさになっているのを気にして、会いにも来ず手紙も送らずです。これは、紫の上を見捨てたと言っても…
源氏の君は朱雀帝に対し謀反の意があるらしい。世間ではそんな話が流れ、とうとう源氏の君は官位を剥奪されてしまいました。流罪にした方がいいという話も出ています。そうなる前に自分から身を引こう。源氏の君は決意します。 当時の感覚では「京の都」と「…
目的の屋敷に到着した源氏の君。お屋敷は静かな気配です。 二十日の月が出て、橘がよい香りです。女御は年配の方ですが、品があってかわいらしい方です。華やかな寵愛はなかったものの、院とは仲睦まじく過ごされた方でした。源氏の君は昔語りをしているうち…
さあ、源氏の君はどうなるんだ、といったところで終わった前回。しかし、紫式部先生ここでインターバルを置くんですね。穏やかな内容の話がひとつ始まります。 源氏の君の父院の妃で麗景殿女御(れいけいでんのにょうご)と呼ばれた方がいました。御子はなく…
弘徽殿大后の部屋にやってきた右大臣。思ったことを口にだす性格なので、あれこれと大后に言います。 「これこれこういうことがあった。この手習いが証拠です。全く、朧月夜は出仕前に源氏の君に手をつけられ、それなら正式に源氏の君を婿に迎えようかとした…