2020-01-01から1年間の記事一覧
年が明けて、亡き八の宮と親交があった僧侶からわらびが中の君に送られてきました。(父も姉も亡くなり、いっしょに見る人がいない...)中の君は寂しく思います。 一方、薫は1月下旬に匂宮(におうのみや)を訪ねます。 匂宮は「近々中の君を、こちらにお迎…
匂宮が妹の元に来なくなってしまった...がっかりして体調を崩した大君にさらなる打撃が。 匂宮に、左大臣夕霧(ゆうぎり)の娘、六の君との縁談が持ち込まれたと知ったのです。 もうダメだ。妹は匂宮が高貴な方と結婚するまでの一時的な扱いをされたのだ...…
当時の結婚は、男が女の家に通うスタイルで、3日連続で通えば結婚成立でした。匂宮(におうのみや)は中の君の元に3日通ったので結婚成立です。 しかし、都から宇治はとても遠い。匂宮は母の后から外出を諌められます。でも匂宮は頻繁に通えずとも中の君を…
薫は、以前から中の君と文通をしている匂宮(におうのみや)を、こっそり宇治へ連れて来ました。匂宮を中の君に会わせようとの企みです。 「薫さまがいらっしゃいました」と言われて大君は(薫は中の君に心が動いたはずだ)と思い、中の君は(薫のお目当ては…
薫を大君の寝所に入れることにした女房たち。 ん、でも中の君さまがいつもいっしょに休んでいらっしゃる。でも「今日は別々にお休みください」とも言えない。まあ、薫さまは大君さまの気配は分かっておいでのようだし... 一方、大君は眠れずにいました。そこ…
八の宮の一周忌が過ぎて、再び宇治を訪ねた薫。 八の宮が亡くなってしまった今、頼りは薫だけになってしまい、大君(おおいぎみ)と中の君(なかのきみ)の女房たちは「薫さまと大君さまが一緒になられて、こんな山里ではなく都へお連れしてくだされば」と願…
薫と大君(おおいぎみ)の仲は進展のないまま、八の宮の一周忌が近くなり、薫は準備のため宇治を訪れています。 はたして大君は薫をどう思っているのか。老女房の弁の君(べんのきみ)によると 「姫さまたちは世間の方たちとは違った性格で、人並みに結婚を…
山寺に参った八の宮は体調を崩し、旧暦8月20日にこの世を去ってしまいました。 姫君たちは「せめてご遺体を一目見たい」と申し出ますが、断られてしまい、山寺の僧を恨めしく思います。 薫はすぐ弔問に訪れました。弔問に来てくれた薫の心を、姫君たちは…
旧暦の2月20日頃、匂宮(におうのみや)は、今の奈良県の長谷寺へお参りに行きます。でも、メインは薫が話していた、宇治の美しい姉妹のようです。宇治にある、おじの夕霧の別荘で休憩していると、薫もやってきました。 この別荘がある川の対岸に、八の宮…
八の宮の娘たちに使える老女房に、弁の君(べんのきみ)と呼ばれる人がいました。この人は、亡くなった柏木の乳母の娘です。柏木は死ぬ前に、弁の君にある事を告白していました。 薫の対応をした弁の君は「亡き柏木さまから、伝えて欲しいと頼まれた事がござ…
薫には親交を深めている宮様がいます。亡き光源氏の腹違いの弟、八の宮です。 八の宮は薄幸な方でした。 光源氏が苦境に立たされていた頃、光源氏の敵対勢力は光源氏が後見をしていた皇太子を廃して、八の宮を新たな皇太子に立てようと考えていました。 その…
今度は光源氏の養女、玉鬘(たまかずら)の家の話です。 玉鬘は冷泉院が帝だったころ、尚侍(ないしのかみ)としてお仕えする予定でした。この尚侍、当時は「帝の愛を受ける女官」、「事実上の妃」という立場でした。 しかし、準備している間に大臣が、かっ…
亡き柏木の弟で、紅梅と呼ばれた方は、妻に先立たれたあと、真木柱(まきばしら)と呼ばれた方と結婚しました。真木柱も、夫の宮様と死別していました。 紅梅は先妻との間にふたりの娘、真木柱との間に息子がひとり、そして真木柱が亡き宮様との間に授かった…
不思議なことに、薫は生まれつき身体が良い香りに包まれていました。彼が「薫」と呼ばれているのもそれに由来します。 離れた所にいても、風が吹けば香りが広がり、「あ、薫の君、そちらにいらっしゃるのですか」と気がつかれてしまうほど。 「お香とか使っ…
光源氏がこの世を去って、その評判を受け継いでいるのは、晩年に生まれた息子の薫と、光源氏の孫にあたる今上帝(きんじょうてい)の第三皇子で匂宮と呼ばれている方でした。 薫はたくさんの方から大切にされていました。 年の離れた兄の夕霧や、姉で今上帝…
雲隠。この巻は巻名のみで本文はありません。作者も元々内容を書かなかったと思われます。 雲隠とは、人の死を暗示する言葉です。つまり、これは光源氏の死を意味しています。 そう、源氏物語では、光源氏の出家後の話や死について、何も描かれていないので…
冬になって、源氏の君は身辺整理を始めます。年が明けたら出家するつもりなのです。 仕えている女房たちそれぞれに、それとなく「形見分け」をしています。年の瀬が近いのも加わって、女房たちは心細い思いです。 整理する品には、たくさんの手紙があります…
衣替えの季節になりました。毎年紫の上が準備なさっていましたが、今年は他の夫人が用意してくださいます。こんなちょっとしたことでも、源氏の君は紫の上がいない悲しみを感じます。 五月雨が降るある日、息子の夕霧が訪ねてきました。 「早いもので、もう…
源氏の君は久しぶりに夫人のひとり、女三宮の所へ出かけます。 女三宮は出家していて、仏さまに仕える日々です。 庭の山吹が美しく咲いているのを源氏の君は 「山吹が華やかに咲いていますね。植えた人がいない春とも知らずに、今年は一段と美しく咲いている…
新年を迎えて、源氏の君の元には年始のお客様が多数来られますが、「体調がすぐれない」と源氏の君は会おうとしません。面会したのは、仲のいい異母弟くらいです。 紫の上が亡くなってから、源氏の君は他の夫人方の元へ行く事がぱったりと無くなりました。た…
秋になって、紫の上はいくぶん体調の良い日もありました。 しかし、夫と養女がいる時に体調が悪くなり、最後は二人に看取られて、命を終えました。 紫の上が亡くなったと聞いて駆けつけた息子の夕霧に、源氏の君は 「こんなことになってしまった...こうなる…
旧暦3月10日、紫の上は私的に写経していた法華経千部の供養を、二条院で開くことにしました。たくさんの人が準備に関わったり寄進をしたりと、紫の上の人望がよく分かります。当日は、源氏の君の他の夫人方も法要に参列しました。 今年の春が最後の春だろ…
源氏の君の奥様、紫の上は、数年前に大病をわずらって以来、体調のすぐれない日々を過ごしています。回復する様子はなく、年々弱っていっている感じです。 当時は40年生きれば長寿のお祝いをした時代。自分の年齢を考えると、それほど長くは生きられないだ…
まったく、まじめな人が恋に狂うと、どうしようもなくなるというのは本当なんだわ... 夕霧の奥様、雲井雁(くもいのかり)はあきれています。 もはや夫婦の仲もこれまでのようね。こうなったら... 「えっ、雲井雁が実家に帰った!?」夕霧があわてて三条の自…
こうなったら落葉の宮のココロが解けるのを待っていても仕方ない。母君さまは承知していたと世間には知らせておこう。 夕霧はそう決心して、落葉の宮が都の屋敷に帰る日を決めてしまいました。強行手段にでましたね。 当日、落葉の宮は「私は帰りません」と…
落葉の宮の母君が亡くなったと聞いて、あちこちから弔問の使者が来ました。夕霧は自ら弔問に向かいます。 落葉の宮は夕霧に会う気など、さらさらありません。 「この人が変な振る舞いをしたせいで、母はいらぬ心配したのだ」と怒っていらっしゃいます。 しか…
夕霧から手紙が届いた、と女房が言っています。落葉の宮は当惑しますが、母君は「ちゃんとお返事しなければいけません」と手紙を見ます。 手紙の内容は、一夜を共にしたわりにはなんだかボンヤリしたもの。(本当は何事もなく、母君が勘違いしているだけです…
亡き柏木の奥様、落葉の宮は、母君が病気療養で都の郊外に行くのに同行しています。 病気療養と言っても、当時は医者や薬に頼るのではなく、お坊さんのお祈り、ご祈祷(きとう)をしてもらうのがメインです。 落葉の宮に気のある夕霧は、表向きはそんなそぶ…
年が代わって夏、蓮の花が美しい季節に、女三宮が作られていた仏像の開眼供養を行います。 いよいよ女三宮が本格的な出家生活を送ることに源氏の君は感慨無量です。 「来世でまた、夫婦になれることを願っています」と女三宮に言いますが、 女三宮は「そのお…
夢に柏木が現れたことで、笛をどうしたものかと考えた夕霧は、父の屋敷を訪ねます。 父の部屋に行く途中、薫の姿を見かけます。そういえば、薫の顔をちゃんと見たことはなかったな。「こっちへいらっしゃい」夕霧は呼びかけます。とことこと薫がやって来まし…