雲隠(くもがくれ) 第二部の感想
雲隠。この巻は巻名のみで本文はありません。作者も元々内容を書かなかったと思われます。
雲隠とは、人の死を暗示する言葉です。つまり、これは光源氏の死を意味しています。
そう、源氏物語では、光源氏の出家後の話や死について、何も描かれていないのです。
ちょっと残念ですが、多くを語らないのが雅なんでしょうか。
さてさて、第二部が終わりましたが、私が思うのは...
・まるでドミノ倒しのような展開
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柏木は女三宮に近づき、一線を越えてしまう
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女三宮が妊娠
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光源氏にバレた事で、罪の意識から柏木は死ぬ。女三宮は罪の意識から子どもを産んだ後、出家
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残された柏木の妻の落葉の宮に、光源氏の息子の夕霧が熱をあげる
まるでドミノがパタパタ倒れていくように、次から次へと事件が起きていく展開。よく構想が練ってあるなあと思います。
・光源氏のグズな一面を見る
「出家したい」という妻たちの願いに対して、光源氏はぐずぐずしています。
女三宮に対しては「若いあなたが出家するなんて、とんでもない」と言いつつ(出家させたほうが、自分も気が楽だろうか...)と迷っています。
結局、女三宮は父親に出家の許しをもらっていました。
紫の上に対しては「あなたが出家してしまうと、離ればなれになってしまう。そんなのは耐え難い」と反対し続けます。
紫の上にとって出家は長年の願いでしたが、出家は無理だと紫の上は覚悟します。
そして紫の上が亡くなってから光源氏は「長年の願いを叶えてあげられなかった...」と悔やむのです。
光源氏がぐずぐずしている一方で、女性たちが凛としている様子がうかがえます。
次回からは第三部が始まりますが、一説には「第三部は紫式部が書いたのではない」と言われています。まあ...光源氏が死んでしまいましたからね。
第三部からは、光源氏の息子の薫(実の父親は柏木)と、今上帝(きんじょうてい)の第三皇子、匂宮(におうのみや)が中心の物語です。
どんな展開になるのか、お楽しみに😃