御法(みのり)1 迷う源氏、心を決める紫の上
源氏の君の奥様、紫の上は、数年前に大病をわずらって以来、体調のすぐれない日々を過ごしています。回復する様子はなく、年々弱っていっている感じです。
当時は40年生きれば長寿のお祝いをした時代。自分の年齢を考えると、それほど長くは生きられないだろうと紫の上は思います。
残された時間は仏さまにお仕えしたいと思い、紫の上は何度も出家を願いますが、源氏の君からの許しは出ません。
源氏の君自身、若い頃から出家願望は有りました。でも、紫の上や子どもたちを置いていけないといったことから、まだ実現していない望みでした。
いっそのこと、そろって出家してしまおうか。
でも、出家したらたとえ夫婦といえど離れて暮らさなければいけない。こんなに弱っている紫の上を放っておくことはできない...
私は、出家できない運命なのかもしれない。
最近、紫の上はそう思っています。
出家の許しが出ないのは残念だけど、勝手に出家するのもどうかと思う。
それなら、今できることをしよう。紫の上は準備を進めます。(続く)