2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧
叔母は出発が近くなったある日、末摘花の屋敷にズカズカとやって来ました。「まあ、こんなひどい屋敷にお住まいとは」と気の毒がりますが、薄っぺらなうわべだけの口ぶりです。 「近くに住んでいるうちは頻繁に連絡しなくても大丈夫だろうと思いますが、遠く…
末摘花に仕える侍従(じじゅう)という女房は、よそにもお仕えして末摘花の生活を支えていました。そのお仕え先が、末摘花の母方の叔母です。 この方、「落ちぶれて」地方官の奥様になっていました。兄弟姉妹からは地方官「なんか」の奥方になったと、「一家…
みなさん、末摘花(すえつむはな)を覚えていますか? 鼻が象みたいに長い姫様。あの方の話です。 末摘花は源氏の君から生活援助を受けていましたが、源氏の君が須磨へ流されてしまってからは援助もパタリと止まってしまい、生活がますます苦しくなっていま…
「亡き御息所から娘を頼みますと言われました。冷泉帝は大人びてきましたけど、まだお若いですし、しっかりした方がお側に仕えるのもよいかと思っています」 「よくお考えくださいました。朱雀院のお話はかたじけないことですが、母親の遺言を口実に、知らぬ…
ここで、冷泉帝の後宮はどうなっているかといいますと まず、葵の兄上が娘を後宮に入れて、弘徽殿女御と呼ばれています(朱雀院の母親とは別人です)。女御は妃としての格を上げるため、大臣であるおじいさまの養女としての扱いです。ん?すると、父親と義理…
天皇が替わられたので、伊勢神宮に仕える斎宮(さいぐう)も交代になりました。それに伴い、前斎宮と母親の六条御息所は都に帰っています。 六条御息所は重い病を患い尼になっていました。源氏の君はお見舞いに伺います。 御息所は娘のことを源氏の君に頼み…
一方、源氏の君は明石の君も今日お参りに来ていたのを知って、こちらの派手な行列に気圧されてしまったのだろうと気の毒に思います。明石の君を気遣って和歌を送ります。 この和歌、源氏物語で最も美しいやりとりだと私は思っていますというわけで、今回は原…
秋になり、源氏の君は住吉神社にお礼参りに向かいます。宮中の人たちも、われもわれもとお供して、華々しい行列です。 ちょうど同じ日、明石の君も舟で住吉神社にお参りに来ていました。毎年春と秋にお参りしていますが、妊娠出産があったので久しぶりです。…
源氏の君、紫の上がよそから明石の君が女の子を産んだと聞かされるのはいかがなものかと思い、自分から話をします。 「人生とは意地悪ですね。子供を産んでほしい人には産まれなくて、そうでない人に産まれるなんて...女の子だそうです。憎まないであげてく…
三月になり、明石の君が女の子を出産したと知らせがありました。 源氏の君は昔、占い師に言われたことを思います。 子供は三人。帝と后になられます。中の子は臣下として位を極めるでしょう。 后となる子は身分の低い方を母親とします。 確かに子供が(秘密…
年が明けて二月、東宮が元服されると、朱雀帝は位を東宮に譲られ朱雀院となられました。東宮に位を譲ることは母后には相談されませんでした。新しい東宮は朱雀院の妃、承香殿女御(しょうきょうでんのにょうご)の皇子がなられます。 本文中には何も書かれて…