2018-01-01から1年間の記事一覧
年が明けました。左大臣は世の中の情勢がすっかり変わってしまったのを嘆いて、辞職されてしまいました。 今や右大臣一族が栄える時代となり、源氏の君はもちろんのこと、左大臣一族や藤壺に仕える人々も昇進の人事はありません。時代が変わったのだと人々は…
亡き院の一周忌になり、藤壺はそれにあわせて法華経の法要・法華八講(ほっけはっこう)を開催しました。 そして最終日、藤壺は出家し、尼になりました。 当時の出家は、まさに「俗世間と決別」することで、私の目から見ると、社会的な死と言ってもよさそう…
こんなことが続いたら、うわさになるかもしれない。一体どうしたらいいのか... 藤壺は考えたあげく、ある決心をします。そして、その決心を息子に伝えるべく、宮中へ向かいました。 一方源氏の君は、このところ宮中にも出仕しないし、東宮の元にも参上しませ…
藤壺は東宮の後見役として源氏の君を頼りにしていましたが、あのけしからん恋心はどうにかしてくれないかと気を揉んでおられ、密かに恋心が静まるようにと祈祷をさせていました。しかし ある日、突如源氏の君が現れたのです。 源氏の君はあらんかぎりの言葉…
この巻で新たに分かったことですが、葵には朱雀帝が皇太子だった頃にお妃になる話があったそうです。しかし、葵の父の左大臣は朱雀帝ではなく、源氏の君と結婚させることを選びました。弘徽殿大后はいずれ帝になる自分の子ではなく、臣下になる源氏の君を左…
院がお隠れになったので、娘の加茂の斎院は喪に服するため斎院が交代します。新しく斎院は源氏の君のいとこの朝顔の姫君です。源氏の君は以前からこの方に想いを寄せていて、斎院になられてからも手紙を送っています。 年が明けて二月、右大臣の娘の朧月夜の…
院は病気を患っていましたが、ご容体が悪化してきたので、朱雀帝はお見舞いにいかれました。 院は東宮(皇太子)になられた藤壺の皇子のことをよろしく頼むとおっしゃられ、源氏の君については「国を守る相がある者だからこそ、あえて臣下にしたのです。この…
斎宮の伊勢出発も間近になり、源氏の君は六条御息所に会いに向かいました。晩秋の旧暦九月、枯れ草の野を踏み分けて、野の宮に着きました。夕暮れの空に月が浮かび、虫の音が聞こえます。 六条御息所は、内心源氏の君が来るのを心待ちにしていましたが、いざ…
葵の上が亡くなって、次の正妻は六条御息所ではないかと世間の人も御息所に仕える人もうわさしていますが、源氏の君は手紙は送るもののお通いがぴったり途絶えています。六条御息所は、「私を嫌う理由があるに違いない」と伊勢行きを心に決めています。 ここ…
その日は十月最初の亥の日だったので、無病息災を願って亥の子餅(いのこもち)がだされました。すると源氏の君は乳母子の惟光(これみつ)を呼んで 「この餅をもう少し少なくして、明日の暮れまでに用意してくれ。今日は日が悪いから」 惟光、ピンときたら…
ある朝、源氏の君は早く起きたのですが、紫の君はなかなか起きてこないことがありました。 どうやらふたりは「夫婦」になったようです。 でも紫は相当ショックだったようで、「こんな嫌らしい心を持った人を、どうして信頼していたのか」と嘆いています。 昼…
葵の四十九日があけて、源氏の君は自分を心配している父の院に挨拶にいきます。今夜は二条院に帰るそうです。 左大臣家では、若い葵に先立たれて悲しいところに、源氏の君ももうこれきり来なくなってしまうのではないかと皆が沈んでいます。源氏の君は産まれ…
菊の花を添えて紙の色を喪服の色に合わせた弔問の手紙。誰からだろうと見ると、六条御息所からです。素晴らしい筆跡ですが... 正直、葵の上に六条御息所の生き霊を見てしまった源氏の君。なんだか疎ましく感じます。なんではっきりと、見てしまったのだろう…
葵を失った源氏の君は眠れない日々が続いています。 いつかは打ち解ける日がくるだろうとのんきに構えて、他の女性のところへ行って辛い思いをさせてしまった。私のことをつれない男と思ったまま逝ってしまったのだろうなあ... せめての思いか、源氏の君はま…
葵は出産疲れで伏せっています。そんな様子がかわいらしいと描かれています。 源氏の君は看病しながら、「どうしてこの人をもの足りないと思っていたんだろう」と思います。葵も宮中へ行く夫を伏したまま見つめて送ります。 ところが 源氏の君や左大臣が宮中…
六条御息所は車争いの後、もの思いがひどくなり「魂が抜けた」ように日々を過ごしています。葵の上が出産したと聞いて「一時は危ないと言われていたのに安産だったのか」と憎らしく思います。 ふと、芥子(けし)の匂いがするのに気がつきました。芥子は祈祷…
車争いの後、葵の上はもののけがとりついて苦しむ日々が続いていました。祈祷でいろいろともののけや生霊が現れるのですが、ひとつだけ、どうにも葵の上から離れないものがいます。 源氏の君は付きっきりで葵を看病します。すると祈祷に根負けしたもののけが…
六条御息所はもう帰りたいと思いましたが、車は身動きできません。そこへ「行列が来たぞ」 源氏の君のまばゆい姿を見て、笑顔になる者や、拝んでいる者までいます。源氏の君は左大臣家の車に気がついて礼を正して行きます。お供の者もかしこまって通ります。…
この車に乗っているのは六条御息所です。気分転換になるかと、お忍びで出かけていました。しかし、葵の上サイドは、この退かない車の主が誰か分かりました。(どうして分かったのか詳しくは書かれていません) 「退かないだと。そんなこと言わせないぞ」 「…
加茂神社の斎院は天皇が代わられたといっても交代しないこともありましたが、今回は交代されました。新しい斎院は朱雀帝の妹宮です。禊(みそぎ)の神事には源氏の君がお供することになりました。ちなみに、禊の様子を再現しているのが、現代の5月に行われ…
そうなんです。タイトル通り、葵が妊娠しました。 いや~、驚きです。この夫婦、仲がそんなにいいとは書かれていなかったので。源氏の君は体調が優れず心細い様子の葵をいとしく思っているようです。 私が初めて源氏物語を読んだ時は「ふーん」と思うくらい…
帝は皇太子に位を譲り、朱雀帝(すざくてい)の時代となりました。帝はこれから院と、母の弘徽殿女御は弘徽殿大后(こきでんのおおきさき)とお呼びします。 源氏の君も位が上がり、軽々しく振る舞えない立場に。女性たちから通いが少ないと言われているよう…
花宴のお話は終わりましたが、今回はこの話に出てきた朧月夜の君について考えます。 源氏物語の漫画を読むと、朧月夜の君は「自分に正直」とか「決められた結婚ではなく恋に生きる女」とか、わりと肯定的に描かれています。 しかし、わたくし石山はどーーー…
旧暦3月20日過ぎ、右大臣家で藤の宴が行われます。右大臣家は普段源氏の君を目の敵にしていますが、今日は宴に花を添えたいと源氏の君を招きます。 随分お酒を進められた源氏の君。女性たちの部屋へ行き「お酒を強いられて困っています。こちらで私をかくま…
照りもせず曇りもはてむ春の夜の朧月夜に似るものぞなき... 美しい女性が古い和歌を口ずさんで歩いて来ます。源氏の君、女性の袖を捉えます。 「まあ、いったい誰ですか」 「こんな趣深い夜に出会ったのです。おぼろげではない、深い前世からの縁があるので…
年が改まり、春の2月20日過ぎ、桜の宴が行われます。前の章が紅葉で秋だったのに対し、次は花で春としています。(この時代はただ「花」と書かれていれば桜を意味します)今回も源氏の君の素晴らしい様子が描かれています。漢詩と、紅葉賀の巻でも称えられた…
7月になって、藤壺が中宮(正式な妃)なりました。これは異例だったかもしれません。なにせ、20年以上女御を務め、皇太子の母である弘徽殿女御を差し置いて、藤壺を中宮にしたのですから。 帝としては次の皇太子に藤壺の子を、と考えています。しかし、藤壺…
乱れた気持ちを落ち着けようと、源氏の君は紫の姫君に会いに行きます。 姫君は和歌を引用して「会う時間が少ないですわ」と、ちょっとませたことを言っています。「あらま、憎たらしいことを言う。見飽きられたら困ると私は思っていますよ」と源氏の君は言い…
藤壺の出産は12月とみられていましたが、何事もなく年が明けました。1月には、と思われていましたが、音沙汰なし。世間では、もののけのしわざかとうわさしています。弘徽殿女御が呪詛しているといううわさも。源氏の君はやはりそうなのかと思いあたるのです…
お正月を迎えました。源氏の君は宮中に行く前に、紫の姫君の部屋に行きます。 紫はお人形遊びに夢中です。小さなお道具やお屋敷を並べて遊んでいます。 源氏の君が出かけた後、紫の乳母の少納言は「今年からは大人におなりなさいませ。十歳を過ぎた人がお人…