葵9 悲しみの源氏の君
葵を失った源氏の君は眠れない日々が続いています。
いつかは打ち解ける日がくるだろうとのんきに構えて、他の女性のところへ行って辛い思いをさせてしまった。私のことをつれない男と思ったまま逝ってしまったのだろうなあ...
せめての思いか、源氏の君はまめに仏前で念仏を唱えています。
葵の兄は、しょんぼりしている源氏の君を見て思います。
源氏の君の父の院が葵と仲良くするようにとおっしゃったことや、左大臣が源氏の君をたいそうもてなしていること、私や葵の母の大宮は源氏の君の叔母にあたることといったいろんな都合があるから、いやいやながらも連れ添っているのかなと気の毒に思ったりしたけれど、そうじゃなかった。
本当は妹を大切に思ってくれていたんだ...
そんな折、源氏の君に弔問の手紙が届きます。(続く)