賢木3 院がお隠れになる
院は病気を患っていましたが、ご容体が悪化してきたので、朱雀帝はお見舞いにいかれました。
院は東宮(皇太子)になられた藤壺の皇子のことをよろしく頼むとおっしゃられ、源氏の君については「国を守る相がある者だからこそ、あえて臣下にしたのです。このことを忘れないように」とおっしゃられました。
後日、源氏の君は東宮と共にお見舞いにいかれます。院は源氏の君に、東宮をしっかり後見して欲しいと述べられました。
そして十一月、院は世を去られました。この時代の表現だと「お隠れになる」といいます。
源氏の君は去年は葵を亡くし、今年は父親が亡くなって世をむなしく思います。
ところで、院は源氏と藤壺の仲を知っていたのでしょうか。藤壺の目には、何もご存じなかったようにみえたようです。
でも、実はご存じだったのではないかという意見もあり、解釈の別れるところです。(続く)