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賢木2 男と女の悲しい別れ

斎宮の伊勢出発も間近になり、源氏の君は六条御息所に会いに向かいました。晩秋の旧暦九月、枯れ草の野を踏み分けて、野の宮に着きました。夕暮れの空に月が浮かび、虫の音が聞こえます。

 

六条御息所は、内心源氏の君が来るのを心待ちにしていましたが、いざ源氏の君が来ると会おうとしません。女房たちが、私たちが対応するのは失礼ですと言うので、対面するようです。

 

源氏の君は榊の枝を差し入れて「この榊の葉の緑が変わらぬように、私の心も変わりません」と語ります。

 

源氏の君は昔を思い出して泣けてきました。最初は物越しの対面だったのが、顔を合わせられるようになったこと。なのに女性の性格に難があると分かって心が離れていったこと。行く末は一体どうなるのだろう...

六条御息所も「思い切ろう」と決めたものの、会えば会ったで心が揺れるようです。

 

 

ようよう明けゆく空、虫の音が響いています。源氏の君は伊勢行きを思いとどまるよう言葉を尽くしましたが、六条御息所の気持ちは変わりません。源氏の君は退出します。六条御息所は断ったものの、源氏の君のいた名残をかみしめていました。

 

 

この夜、ふたりは語るだけだったのか、それ以上のことがあったのか、はっきりとは描かれていません。源氏物語の漫画でも、作者によって解釈が分かれています。どのようにふたりの別れを描くか、小説でも漫画でも見所です。(続く)