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須磨1 身を引く決意

源氏の君は朱雀帝に対し謀反の意があるらしい。世間ではそんな話が流れ、とうとう源氏の君は官位を剥奪されてしまいました。流罪にした方がいいという話も出ています。そうなる前に自分から身を引こう。源氏の君は決意します。

当時の感覚では「京の都」と「それ以外」で「それ以外」は「へき地」でした。自分から赴くのは大変な決意です。

 

三月に都を離れることにし、出発前にあちらこちらに挨拶に行きます。左大臣家に挨拶に出かけると、息子の夕霧が嬉しそうにやって来ました。「会いに来るのは久しぶりなのに、父の顔を忘れていないのだね」と源氏の君。

 

左大臣もやって来て、いろいろとお話します。源氏の君は今回の一件を「前世からの因縁、自分の身のつたなさ」からだと話します。不遇な目にあうのは前世からの因縁だと。

確かに、弘徽殿大后や右大臣は源氏を煙たく思っていました。そこに朧月夜との件があってつけこまれた訳です。でも、朱雀帝の(事実上の)妃である朧月夜に手を出したことを重大事件と思っていないようです。左大臣もその事で源氏の君を責める記述はありません。

 

 

哀れなのは夕霧です。お父様がおいでだというのではしゃいだり、源氏の君の膝に座ったりしています。左大臣は「こんな悲しい思いをしないだけ、娘の葵は幸せなのかもしれません。それと引き換え若君(夕霧)は母を知らないのに父親とも離れてしまい、可哀想です」と語ります。

一晩泊まって二条院に帰られました。女房たちは激しく泣きます。(続く)