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葵13 けじめはちゃんとつけます

その日は十月最初の亥の日だったので、無病息災を願って亥の子餅(いのこもち)がだされました。すると源氏の君は乳母子の惟光(これみつ)を呼んで

「この餅をもう少し少なくして、明日の暮れまでに用意してくれ。今日は日が悪いから」

惟光、ピンときたらしく「そうですね。おめでたいことの始めは日を選びませんと」

 

何の話かといいますと...

 

源氏の君の「餅を用意する」は、当時結婚三日目に食べた三日夜の餅(みかよのもち)のこと。

「日を選ぶ」は、現代の暦にも書かれていますが、毎日に十二支が当てられていました。推察ですが、十二支の「最後」である亥の日は結婚の始まりにふさわしい日ではないと源氏の君は考えたのでしょう。次の日は「始まり」の子(ね)の日なので、そちらのほうがいい、ということです。

源氏の君、なんとなく夫婦になるんじゃなく、ちゃんとけじめをつけたいとお考えのようです。

 

餅はそっと紫のところに届けられました。紫の乳母の少納言は「ここまでしてくださった」と喜んでいます。源氏の君の思いを理解したようです。

 

 

それから源氏の君は、紫の身分をはっきりさせるために紫の父宮にお知らせして、成人式である裳着(もぎ)の式も立派に行いました。

 

でも、紫の機嫌は直りません。「こんな人を長年頼りにしていたなんて」とふさぎこんでいます。

 

源氏の君は、いまとなってはどこへ行っても紫の面影が頭から離れず、一晩会わないだけでも恋しいと思っています。なかなか機嫌が直らず、うちとけてくれないのを残念に思いながらもいとしいと感じています。そうこうしているうちに、年も明けようとしています。

 

 

次回から新しい章に入ります。