葵4 車争い(くるまあらそい)
この車に乗っているのは六条御息所です。気分転換になるかと、お忍びで出かけていました。しかし、葵の上サイドは、この退かない車の主が誰か分かりました。(どうして分かったのか詳しくは書かれていません)
「退かないだと。そんなこと言わせないぞ」
「源氏の君のご寵愛をいいことに、威張るんじゃない」
若いお供は酒で酔っ払っているので騒ぎたてます。年配の者が制止しますが、止めきれません。
とうとう力づくで奥におしやられてしまいました。車も壊されてしまいます。でも、一番壊されたのは六条御息所のプライドかもしれません。お忍びできたことがバレてしまった上、車も壊され、恥もいいところです。
車争いと言われる源氏物語の有名なシーンですが、祭の場所争いは結構あったようです。源氏物語以前に書かれた落窪物語(おちくぼものがたり)という作品にも場所争いのシーンがあります。当事者の勢力争いがこんな形で現れているようです。
となると、六条御息所は葵の上に負けた様子を世間にさらされた格好になります。そこへさらに追い打ちが...(続く)