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賢木6 源氏、藤壺に迫る

藤壺東宮の後見役として源氏の君を頼りにしていましたが、あのけしからん恋心はどうにかしてくれないかと気を揉んでおられ、密かに恋心が静まるようにと祈祷をさせていました。しかし

 

ある日、突如源氏の君が現れたのです。

 

源氏の君はあらんかぎりの言葉で藤壺に想いをぶつけますが、藤壺はなびきません。しかし、胸が苦しくなって騒ぎになります。側近の女房たちによって源氏の君は塗籠(ぬりごめ)という部屋に閉じ込められてしまいました。

 

騒ぎが収まって人が少なくなった頃、源氏の君は塗籠の扉をそっと開けて藤壺を見ます。藤壺は、紫の上と違う所がありません。

 

 

...ん?この表現はちょっと引っ掛かりました。

 

源氏の君は「紫が藤壺に似ている」から紫を引き取ったのに、今は「藤壺が紫に似ている」なんだ...なんか今の源氏の君の心では、もしかして藤壺より紫の上のほうが、重きを置かれているってことなの?

源氏物語の研究では、紫の上はずっと藤壺の代わりとしてしかみられていなかったという人もいるけど、この頃には、紫は紫として愛されていたのかもしれない。ちっちゃな一文ですが、私はそう思いました。

 

 

源氏の君は扉から抜け出し再度藤壺に迫ります。もはや正気を失い、こちらになびかないのを恨みがましく言いたてますが、藤壺は厭わしく思うだけ。側近の女房たちも早く帰るよう言います。

 

藤壺の気持ちを尊重しないのは申し訳ないので、源氏の君は去りました。(続く)