澪標4 あんまり聞きたくない打ち明け話
源氏の君、紫の上がよそから明石の君が女の子を産んだと聞かされるのはいかがなものかと思い、自分から話をします。
「人生とは意地悪ですね。子供を産んでほしい人には産まれなくて、そうでない人に産まれるなんて...女の子だそうです。憎まないであげてください」
「そう言われる自分が嫌になります。人を憎むとは、いつ習うのでしょう(私が人を憎むとすれば、私を教育したあなたの責任です)」
紫の上、表面上はおおらかに答えますが、やはり気分はよくありません。
源氏の君、なんだかんだと続けます。
「あなたは私が考えもしないことを邪推して私を恨んだりするから悲しいです」「...」
「明石の君の人柄がよいと思ったのは田舎だったからですね」「...」
「和歌もしみじみとしたものがあり、琴の音も新鮮に聞こえました」「...私が淋しい思いをしている間、遊びとはいえ他の人に心を寄せていたなんて」
まあまあ、と琴の合奏でもしようと誘いますが、紫は、明石の君が上手だったと聞かされたので、琴に手も触れようとしません。
源氏の君はそんな紫を、怒っている姿が可愛いと思っています。
もう、源氏の君ったら。(続く)