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若菜 上5 すれ違う夫の結婚の夜

年があけて源氏の君は40歳になりました。

千年前は現代と比べて寿命が短いため、40歳まで生きているのは「ご長寿」です。そのため、盛大にお祝いがなされます。

 

世間からすれば「源氏の君は昨年は位を降りた天皇に準ずる地位をいただき、今年は40歳のお祝い、さらに女三宮さまとご結婚。いや~めでたいことだらけだ」ですが...

 

 

二月、いよいよ源氏の君と女三宮が結婚。女三宮が源氏の君の屋敷である六条院へやってきました。

 

当時の結婚のしきたりで、三日間は花嫁の元へ行かなければなりません。

源氏の君は今更ながら、なぜ他に妻を迎える必要があったのかと後悔します。

一方、紫の上はお香を焚いて夫の衣装に香りをつけています。

 

源氏「今夜ばかりは、あなたの元を離れるのをお許しください。あなたを見捨てることがあったら、我ながら愛想がつきてしまう。しかし、女三宮をないがしろにしたら、朱雀院になんと思われるか...」

紫「自分で自分の気持ちがわからないのですね。それでは、他人である私がなぜ分かったりできるでしょうか」

 

うっ、紫の機嫌が良くない...源氏の君、出かけるのをためらいますが紫の上は

「早く出かけてください。私が引き止めているからなかなか来ないと、あちらさまが変な勘違いをします」

ようやく源氏の君は出かけました。見送る紫の上は平然とはできません。

 

それでも、顔には出さず、もう寝ましょうと言います。

 

寝所に入ったものの、紫の上は眠れません。しかし、寝返りひとつしません。

というのも、近くにいる女房たちに気づかれたら「やっぱり紫の上さま眠れないんだわ」と思われてしまいます。

実は源氏と女三宮の結婚が決まってから、紫の上の元には交流のある人たちから

「どんなお気持ちでいらっしゃいますか。まあ、私たちは最初からあきらめていますが」

などと同情半分、紫の上の気持ちを探る半分の手紙が来ていて、紫の上はやっかいだと思います。

 

いろんな人から気持ちを探られている紫の上。

素直に悲しいと言ったり涙を流したりできませんでした。(続く)