柏木2 もう夫婦としてやっていけない
女三宮は出産した後、なかなか体調が戻りません。
しかし、夫の源氏の君はつれない態度です。昼間ちょっと顔を出すだけで、夜は泊まっていきません。女三宮の年寄りの女房たちは「なんと冷たいのでしょう。こんなに美しい若様が生まれたのに」と文句を言っています。
理由を分かっている女三宮は「これからも源氏の君は、こんな態度なのだろうか」と暗い気持ちです。
いっそのこと、死んでしまいたい...
そんなある日、源氏の君が来た時に女三宮は話をします。
「わたくし、自分の命が短いように思います。このうえは、尼になりたいです。
出家の徳で命が助かるかもしれません。それが叶わなくても、罪が無くなるなら、出家したいんです」
「そんな、縁起でもないことをおっしゃいますな」源氏の君は制します。
でも、その一方で「尼にさせた上でお世話した方がいいかもしれない。このままでは私の冷たい態度を世間が知ってしまうだろうし」とも思っています。
しかし、まだ若い女三宮を尼にするのは...
今の源氏の君は、女三宮が憎いと思う一方、愛らしい様子に「すべて許してしまおうか」とも思っていて、心が揺れています。(続く)