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若菜 上5 覚悟の紫の上

一体どうやって紫の上に話せばいいんだ。私の愛が変わることはないと分かってくれるだろうか。分かってくれるまで、どんなに辛い思いをするだろう...

源氏の君、かなり苦心しています。しかし、話さないわけにはいきません。

 

「朱雀院から女三宮さまのことをいろいろとお願いされた。お気の毒で辞退することができなかった」

「...お気の毒なお話ですね。女三宮さまと私は親戚ですから、仲良くしていただけると嬉しいです」

「そんなに素直に受け入れて下さると、どうしてかとかえって心配です。世間はいろいろと根も葉もないうわさをするかもしれません。そんなもの気にしないでください」

 

一見紫の上は平静ですが...

 

 

紫の上も、以前から夫が女三宮の婿候補になっていることは知っていましたが(まさかいまさら結婚など)と思い、夫に「実際どうなのです?」と聞きもしませんでした。

それがまさかの展開。空から降ってきたような話ですが、紫の上は自分がとるべき振る舞いを分かっていました。

 

この話は、お断りできない方からの依頼なのだ。止めることなぞできなかった。だから恨み言は言うまい。

夫と女三宮さまが恋仲になって結婚するのでもないのだ。馬鹿馬鹿しく落ち込んだ姿なぞみせないようにしなくでは。

 

 

「源氏の君と女三宮が結婚するんだろう」「ということは、紫の上は正妻の地位を明け渡すわけか」「長年連れ添った夫婦がこうなるとはね~」「さぞ紫の上はしょんぼりしているんだろう、アハハ」

..などと、おもしろおかしく世間に言われないようにしなければいけない。

しっかりしなければ。心の中では紫の上は覚悟を決めています。(続く)