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幻1 今となっては悔やまれる

新年を迎えて、源氏の君の元には年始のお客様が多数来られますが、「体調がすぐれない」と源氏の君は会おうとしません。面会したのは、仲のいい異母弟くらいです。

 

紫の上が亡くなってから、源氏の君は他の夫人方の元へ行く事がぱったりと無くなりました。ただ、紫の上の側近の女房たちと昔語りをして過ごしています。

紫の上の様子を思い出すにつけ「どうして一時の遊び心であったにしろ、本気になったことにしろ、紫の上の心を悩ませるようなことをしたのだろう」と悔やまれます。

 

女房たちも「実は...」と、紫の上の様子をポツリポツリと話していました。

特に、女三宮が源氏の君に嫁入りしたころは、顔色には全く出さなかったものの、時折「情けないことになった...」と思っていらっしゃる様子がお気の毒でした、とのこと。

源氏の君も、女三宮との結婚の夜、女三宮の元から戻ってきた自分を迎えた紫の上は、涙に濡れた袖を隠していたことを思い出していました。

 

 

養母の喪が明けた明石の中宮(ちゅうぐう)は宮中に戻ります。

ただ、父がひとりきりになるのが心配で、息子の第三皇子、三の宮を父の元に残していきました。

 

三の宮は「おばあさま(紫の上)が大切にしてくださいと言ったから」と、紅梅を大切にしています。

 

お庭が花盛りになるにつれ、春を愛した庭の主がいないことを、源氏の君は寂しく思います。

僕の桜が咲いた。どうしたら花が散らずにすむかなあ」三の宮は無邪気に言います。(続く)