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柏木1 運命の子、薫誕生

私はどうして、道をあやまってしまったのだろう...

病床の柏木は涙がこぼれます。

 

光源氏の妻、女三宮と関係してしまったことが源氏にバレてしまい、「許せない」という源氏の態度に怖じけづいたあまり、病気になってしまった柏木。生きることをあきらめています。

 

このまま生きていても、私の秘密がいつ世間に知れわたるかわからない。それに、死ねば源氏の君もお許しくださるかもしれない。

 

もうこれが最後だろうと、柏木は女三宮に手紙を送ります。

女三宮は「私はもうこりごりです。それに、私も今日か明日で命が終わるかもしれないのに」と言いますが、手紙を持ってきた女房にうながされ、しぶしぶ返事を書きます。しぶしぶ。断ることができない女三宮の、せめての抵抗です。

 

その後、女三宮は産気付いて、明け方赤ちゃんが生まれました。

のちに薫(かおる)と呼ばれる男の子です。

 

源氏の君は「何ひとつ、やましいことがなければ喜べただろうに」と思います。

男の子はいずれ世間に出ていく。柏木に顔が似ていたらどうしたものか。女の子なら、人目につかせず育てることができるのに。

 

かつて自分も、父の帝の若い妃、藤壺(ふじつぼ)と男女の仲になり、男の子が生まれたことがある源氏の君。

生きているうちにこうした形で罰を受けたのだ。私の来世での罪は少しは軽くなっただろうか...(続く)