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総角(あげまき)1 結婚に大事なこと・平安時代編

薫と大君(おおいぎみ)の仲は進展のないまま、八の宮の一周忌が近くなり、薫は準備のため宇治を訪れています。

 

はたして大君は薫をどう思っているのか。老女房の弁の君(べんのきみ)によると

「姫さまたちは世間の方たちとは違った性格で、人並みに結婚を、とは考えていないようです。大君さまとしては、せめて妹の中の君(なかのきみ)さまはどなたかと縁組みを、と考えていらっしゃいます。

薫さまの長年の誠意は大君さまもありがたく思っています。あなたさまが中の君さまを望んでくだされば、と思っていらっしゃいます」

 

「違う人を好きになってくれ、と言われても無理です。私の大君への想いは真剣です」薫は言います。

 

 

そしてその夜、大君と屏風を隔てて話していた薫は、屏風を押し退けて、大君の部屋に入って来ました。

 

「隔てない私の心を分かっていただけないのなら、お教えしましょう。仏さまに誓ってもかまいません。どうか、怖がらないでください」薫は一晩中かき口説きます。しかし大君は「真面目な顔をして、こんな下心があったとは」と気分を悪くします。

 

 

結局、一線を越えることはなく朝を迎えました。

 

 

大君は考えます。

薫さまは人柄のよい方だし、亡き父も「薫さまが娘たちを妻に望んでいらっしゃるなら...」とおっしゃっていた。でも、私はやっぱり独り身でいよう。

今が女盛りの妹が人並みに結婚してくれたら嬉しいわ。妹ならば、私が世話をできる。私が結婚したところで、父も母もいないのに、誰が私の世話をしてくれるかしら...

 

どうやら大君は、結婚に大事なのは互いの愛情ではなく「結婚した娘と婿殿を世話してくれる人がいるかどうか」のようです。

平安時代、男は女の家に通うかたちです。そのため、結婚相手の衣食住は女側にかかってきます。例えば、大事な時に美しい衣装を整えられることも大事なのです。(普段からも当然ですけど)

 

世話をしてくれる人がいないのに、結婚は無理だ。大君は思っています。

 

 

中の君のいる部屋へ行って、妹の隣に伏す大君。 中の君は夜具をかけます。

あら、この香りは...いつもお姉さまが使っている香りではない。

もしかすると、薫さまの香りが移って...では、お姉さまと薫さまは一晩を一緒に過ごしたのかしら...(続く)