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橋姫(はしひめ)1 月夜の出会い

薫には親交を深めている宮様がいます。亡き光源氏の腹違いの弟、八の宮です。

 

八の宮は薄幸な方でした。

光源氏が苦境に立たされていた頃、光源氏の敵対勢力は光源氏が後見をしていた皇太子を廃して、八の宮を新たな皇太子に立てようと考えていました。

その計画は形にならず、光源氏は政界に復帰。栄華の道を歩んでいきます。

一方、八の宮は世間から忘れられた存在となりました。

 

家族は、奥様とふたりの娘。しかし、次女を出産した際に奥様は死去。さらに数年後、屋敷を火事で失います。自邸を再建する力がなかった八の宮は、宇治にある別荘に移ります。

世の中の辛さを味わった八の宮は出家したいと願いますが、娘たちを置いていけないと思い止まりました。今は出家しないまま修行に明け暮れつつ、娘たちと暮らしています。

 

 

宇治に住む僧侶が八の宮と親交があり、また、冷泉院の元にも伺っていました。冷泉院と一緒にいた薫は、その僧侶から八の宮の話を聞き、ぜひお付き合いしたいと申し出ます。そして、手紙を交わしたり、実際に宇治へ会いに行ったりと、お付き合いをして3年ほどたちました。

 

 

晩秋に薫は八の宮を訪ねます。宮の山荘が近づくと、楽器の音が聞こえます。しかし、八の宮ではありません。宮は僧侶を訪ねていました。

では、楽器を演奏しているのは、八の宮の姫君たちか...

 

音のする方へ誘われて行ってみると、霧と月明かりの中、ふたりの美しい姫がいます。八の宮の長女、大君(おおいぎみ)と次女、中の君(なかのきみ)です。

(大君は長女、中の君は次女を表す言葉で、二人姉妹でも中の君と呼びます)

 

まるで宇治を守る女神、橋姫のようだ...物語のような出会いに薫は胸をときめかせます。

 

そしてもうひとつ、薫にとって大きな出会いが宇治で待っていました。(続く)