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夕霧1 坊さん、よけいな事をするな!

亡き柏木の奥様、落葉の宮は、母君が病気療養で都の郊外に行くのに同行しています。

病気療養と言っても、当時は医者や薬に頼るのではなく、お坊さんのお祈り、ご祈祷(きとう)をしてもらうのがメインです。

落葉の宮に気のある夕霧は、表向きはそんなそぶりを見せず、お坊さんへのお布施を贈ったりしています。

 

旧暦の8月のある日、夕霧は落葉の宮と母君を訪ねます。普段は母君が対応しますが、病気なので今日は宮ご自身が対応します。

チャンスと思った夕霧、宮や女房たちの隙をついて、部屋の中に入ってきました。

落葉の宮は奥の部屋へ逃げ込もうとしますが、障子を閉める前に着物の裾をつかまれてしまいます。女房たちも、相手が身分ある夕霧なので強気に引き離すことができません。

 

「お許しがなければ、これ以上の事はしません」夕霧は落ち着いて話しますが、落葉の宮は心が動く様子はありません。夕霧に近づかれてしまったことを「気を許し過ぎていた」と悔やんでいます。

 

結局それ以上の事はなく、夕霧は夜が明ける前に帰りました。

その夕霧の姿を見たのは、ご祈祷の坊さん。なんと落葉の宮の母君に夕霧の朝帰りを報告し「いつから宮様と夕霧さまは、ああいった仲なのですか」と尋ねます。

 

まさか夕霧さまがそんなことを...驚いた母君は女房を呼んで問いただします。(一体誰が母君さまに告げ口を...)女房は困惑しながらも、「近づかれたのは事実ですが、何事もありませんでした」と話します。

しかし、母君は信用していない様子。「私の気分が良い時に、こちらに来て下さい」と落葉の宮に伝えます。

 

対面した落葉の宮と母君。落葉の宮は内気な方で、しかも男に不用意に近づかれてしまったことが恥ずかしく「何もありませんでした」と言えません。

そんな宮の様子を見た母君も、お痛わしいと思ってストレートに「昨日は何があったのです?」と聞けません。

 

このままでは、母君は落葉の宮と夕霧は一線を越えてしまったと勘違いしたままになってしまいそう。まずいです。(続く)