若菜 上10 これって運命?それともカン違い?
桜の季節になりました。春の御殿では若者たちが集まって「けまり」というゲームをしています。けまりは、みんなで輪になって鞠をリフティングする男性の遊びです。
ここは女三宮のお部屋の近く。女房たちが見物しています。でも、なんかみんな浮かれている感じ。
源氏の息子の夕霧は、友達の柏木と休憩しています。
と、その時、室内から綱につながれた小さな猫が走り出てきました。綱にひっかかって、すだれがめくり上がります。
ん?何の気なしにそちらを見た夕霧と柏木。
ひとりの女性の姿があらわになっています。女房の服装ではありません。女三宮です。
すだれがめくれていることに誰も気がついていない。コホン。夕霧は咳払いをします。女三宮は奥へ入っていきました。
この一件、夕霧と柏木は違う思いをしました。
夕霧は「身分ある女性が、すだれがちょっとめくれたくらいで姿が見えてしまう所にいるなんて...女三宮さまはなんとはしたない。父上は女三宮さまにあまり気がないと聞いたけど、なるほど理由が分かった」
しかし、女三宮を妻にと願っていた柏木は
恋しい人の姿が見れた。これは、これは
運命だーーー!!
と胸踊らせるのでした。
次回から新しい章に入ります。