若菜 下1 ねうねう
女三宮の姿を見た柏木は、せめてあのときすだれをひっかけて宮の姿を見せてくれた猫を手に入れたいと願います。
あの手この手を尽くして、例の猫を手に入れることができました。
柏木は昼も夜もこの猫の世話をしています。猫の方も、すっかり柏木になついています。
現代では猫の鳴き声は「にゃーにゃー」ですが、当時は「ねうねう」と表現していました。
ねうねう→寝よう寝よう、お前はずいぶん積極的な奴だな。柏木は苦笑します。
柏木のおつきの人たちは「猫が柏木さまの心をつかむなんて...それほど動物が好きな方ではなかったのに」と、首をかしげています。
最近、柏木にはあちこちから縁談が持ち込まれていますが、柏木は興味無し。猫ばっかりかわいがっています。縁談を持ち込んだ方は「うちの娘は猫より下に見られているのか」と残念に思っています。(続く)