橋姫2 薫、真実を知る
八の宮の娘たちに使える老女房に、弁の君(べんのきみ)と呼ばれる人がいました。この人は、亡くなった柏木の乳母の娘です。柏木は死ぬ前に、弁の君にある事を告白していました。
薫の対応をした弁の君は「亡き柏木さまから、伝えて欲しいと頼まれた事がございます。詳しくは、いずれ話しましょう」と話します。他の女房たちがいる所では話せない、ということです。
都に戻った薫は、仲のいい匂宮(におうのみや)を焦らしてやろうと「山里ですてきな姫君に出会った」と話します。
「身分の低い者は、気軽に出かけられますからね。山里で、思いがけない出会いがあるものです」と、ちょっぴり自慢気に話す薫。帝の息子で、気軽に出歩きできない匂宮は悔しがります。
旧暦十月、薫は再び宇治を訪ねます。そして、改めて弁の君に話を聞きました。
「実は、柏木さまとあなたの母上さまは、秘密の仲になってしまい...」
...なんということ。柏木という人は、私の父なのか...!
そして、柏木から預かった手紙を渡されました。
開封するのも怖いくらいですが、開けて見ます。
そこには、薫の母が出家した事があまりにも悲しいとか、薫が生まれた事をうれしく思う、など書かれていました。
「命があれば、生まれた幼子も、よそながらに我が子として成長を見守るでしょう。でも、私の命もいつまであるのか分かりません」
やっぱり、この柏木という方が父なんだ。
でも、私がこのことを知ったことは、誰にも、たとえ母上にも話せない。私の胸にしまっておかなくては...
次回から新しい章に入ります。