蛍4 長雨の季節は物語を読む
このところ長雨が続いています。六条院の女性たちはさまざまな物語を読んで過ごしています。
玉鬘は物語にふれたことがないので、熱心に読んでいます。いろんな話がありますが「私みたいな者の話はないわね」と思っています。
このころ人気だったのは住吉物語。継母にいじめられた姫君が幸せをつかむシンデレラストーリーです。余談ですが、ウィキペディアによると、シンデレラ物語は世界中にあり、最も古い話はエジプトの話だとか。
「ずいぶん夢中になっているのだね。こういった話には偽りが多いのに」玉鬘の様子を見に来た源氏の君がいいます。
源氏の君は玉鬘にいろいろと物語について語りますが、
「昔の物語の中に私のようなまぬけの話はありますか。あなたほどつれない姫君はいませんよ」とか
「いろいろな話がありますが、子が親にそむく話はありません。不孝は仏も戒めています」
と、口説いています。
玉鬘、やっとのことで
「確かに、昔の話を見ても、こんな親は出てきませんわ」
源氏物語を読んでいると
男が熱心に恋心を訴えていたら、それに答えていい。あまりに相手の恋心を無視するのは薄情だ。
という考えを感じます。作者の考えなのか、当時の世論なのかはわかりませんが。
しかし、養父に恋心を訴えられても困るだけです。(続く)