蛍3 ちょっぴりさみしい寝床
五月五日、花散里(はなちるさと)が住む夏の御殿の東側で、騎射競技が行われました。夕霧(ゆうぎり)が若者たちを連れて来て、華やかに行われます。
当時の男子貴族って、身につけておくべき教養が沢山あって以外と大変です。和歌や漢詩は詠むだけでなく、古今の歌集や詩集の知識も必要です。それから楽器、舞、乗馬に弓、ファッションセンスも問われますし、和歌を送る際には季節の花を添えるので植物の知識も...。さらに政治の知識も必要です。
「平安」時代というからのほほんとしているのかと思いきや、かなり大変です。
源氏の君は、今夜は花散里の元に泊まります。
寝床の用意ができたので行ってみると、寝床が別々です。いつの間にか共に寝る関係でなくなったのを源氏は寂しく思います。
とはいえ、ふたりの関係は良好です。源氏の君にとっては、一緒にいるとほっとする女性。花散里はそんな人なのです。(続く)