行幸(みゆき)1 宮仕えかあ、でも...
養女の玉蔓(たまかずら)への恋心をどうしたものか...
いろいろと考える源氏の君は、玉蔓を尚侍(ないしのかみ)として宮中へ宮仕えさせようと考えています。
玉蔓としては源氏から離れるいい機会なのですが、尚侍という立場は考えものです。
尚侍は女官としては高い身分なのですが、源氏物語ができた頃には「帝の愛を受けている女官」、言ってしまうと事実上の帝の愛人でした。
現在、冷泉帝には后の秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)や弘徽殿女御(こきでんのにょうご)がいらっしゃいます。
秋好中宮は源氏が後見を務めています。
弘徽殿女御は実の父、内大臣(ないだいじん)の娘で、自分にとっては実の姉妹です。
一方で自分は、頼れる後見人がいない。
源氏の君は恋心をちらつかせてくるし、実の父上には自分の存在すら知られていない。
そんな自分が冷泉帝の元に行き、もし愛されることになったら、秋好中宮や弘徽殿女御からにらまれるだろう...
冷泉帝のお姿が拝めるということもあり、たくさんの見物人がやって来ました。
六条院からも女性たちがおでかけです。玉蔓も出かけることにしました。(続く)