蛍5 実の娘にはおカタイ教育
源氏の君は、娘の明石の姫君の教育に物語は必要と考えています。そのため、読ませる物語の内容も吟味しています。
「変な色恋の物語は読ませないように。秘密の恋がステキとは思わないまでも、世の中にはこんなことがあるんだと思われてはいけない」秘密の恋をしている方がよく言うものです。
継母が継子をいじめる話も読ませないようにしています。紫の上のお母さまは実はこんなことを考えているのでは、と思われないようにするためです。
源氏の君は教育方針として、夕霧と明石の姫君を親しくさせています。
この時代、両親が同じでも男の子と女の子は七歳くらいから部屋を別々にして顔をあわせないようにしていました。
夕霧と明石の姫君は母親違いなので本来なら顔をあわせることはありません。でも、子どもの少ない源氏の君は、ふたりに仲良くして欲しいと顔をあわせることを許可しています。
夕霧はなかなか良いお兄さんで、妹のお人形遊びを一緒にしてあげたりしています。
でも、恋人の雲井雁(くもいのかり)と一緒に遊んだことを思い出して、涙ぐむこともあるようです。(続く)