松風5 大騒ぎになっちゃった
二、三日大堰に滞在して、桂の御堂の事もあれこれ指示を出しました。
さて、今日は帰る日、なにやら外が騒がしい。
「昨日の美しい月を一緒に見れなかったのは残念しごく。今朝は霧をかき分けて参上しました」と宮中の人たちが集まっています。
あらら、こんな隠れ家にいるところを見つけられるとは...源氏の君は残念に思います。
もうお忍びはできない立場になっているんですね、この方は。
出発の支度をしていると、乳母が姫君を連れてきました。姫君は最初恥ずかしがっていたものの、今は打ち解けています。
「会えないのは辛いな」と源氏の君は思います。
姫君がこのまま世間に隠れて育つのはよくない。いっそ紫の上の養女として育てようか。でも、そうすると明石の君がどんなに悲しむだろう...
場所を桂の院に変えて、宴が始まりました。鵜飼を呼んだり、漢詩を作ったり、琴や琵琶の演奏会をしたり...急なことですが、華やかな宴会です。
月が出た夜更け、冷泉帝から正式な使いがやってきました。(うわ、かなり大事になってきた)「そちらの月は、さぞ美しいでしょう。うらやましい限りです」とお言葉がありました。
宴が長引きそうなので、今日だけで切り上げました。急いで二条院に帰ります。紫の上も待ちくたびれているでしょう。(続く)