常夏4 うたた寝の姫
内大臣は思いたって、娘の雲井雁(くもいのかり)の部屋へ行きます。
雲井雁はお昼寝をしています。女房たちも休んでいるので、内大臣が来たことに気が付いていません。
パチン。内大臣が扇を鳴らした音で目が覚めました。
「うたた寝はいけないと注意しているではないか。女性は常に気を張って身を守っているのがよいのです」
この時の雲井雁ったら、暑いせいか上着は薄い衣のみ。肌が透けて見えます。
暑いからって、ちょっと品がないなぁと思いました。
源氏の君の息子たる、夕霧のお嫁さんにふさわしい振舞いを身につけないといけませんよ、雲井雁ちゃん。
ちなみに、夕霧と雲井雁の仲について内大臣は、夕霧の官位が低いからだめだと思っています。
本当のところ、雲井雁の婿は誰にしようかと頭を悩ませたかった内大臣。夕霧とのうわさが広まってしまったのでそれが叶わず、残念に思っています。
源氏の君から丁重にお話があれば、折れてやってもいいと思っていますが、そんな様子はありません。夕霧が焦っていないことも内大臣はおもしろくないようです。(続く)