常夏1 うわさの姫君
とこなつ...ずいぶんトロピカルなタイトルだな。はじめて読んだときそう思いました。
でも、常夏ってなでしこの花の別名だそうです。ちなみに、なでしこは撫でし子、かわいい子という意味もありました。
ずいぶん暑い日、源氏の君が涼んでいるところへ夕霧が内大臣の息子たちを連れてきました。みんなでのんびり涼んでいるところへ、源氏の君が内大臣の息子たちに質問します。
「内大臣がよそで産ませた娘を引き取ったと聞いたけど、本当なのか?」
「はい、珍しい話だともっぱら世間のうわさになっています」
「内大臣は子どもが多いのだから、群れからはぐれた鳥をわざわざ探しださなくてもいいのに」源氏の君はからかっています。
「夕霧、お前もそういう落ち葉でも拾ったらどうだ。雲井雁の姉妹なんだし」雲井雁との恋がうまくいかない夕霧までからかっています。
その後、玉鬘の部屋に源氏が行くので、夕霧たちもお供します。
源氏の君は玉鬘に「内大臣が夕霧をうとましく思っているのは残念だ」と話します。
源氏の君と実の父とは心に隔たりがあるのか...これでは一体、いつ実の父に会えるのだろう...玉鬘は哀しくなります。(続く)