常夏5 おもしろおかしい姫
内大臣、今度は最近引き取った近江の君のお部屋に行きます。
「小さい目、小さい目、出て来なさーい!!」
あら~すごろくをやっているようですが、ずいぶん早口で...
内大臣、正直言うと「なんでちゃんと調べもしないで、こんな変わった娘を引き取ったんだろう...」と思っています。
「どうだね、この家での生活には慣れましたか」
「何の心配もございませんわ。長年、お会いしたいと思っていたお顔をいつも拝見できないのが、すごろくのいい目が出ないように残念です」
「私の身の回りの世話をしてもらおうかとも考えていたのですが...」
「まあ、それならトイレ掃除だってさせていただきます」
早口でペラペラと、よくしゃべること😅
変わり者だからって、いまさら返す訳にもいきません。冷泉帝にお仕えする娘、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)に頼んで、侍女にしてもらおうと考えています。
といっても、娘ながらこちらが気後れするほど素晴らしい女御に、こんな人を見せていいのやら...
「女御が里帰りしているので、あちらに行って女房たちの振舞いを学びなさい」
「女御さまにお会いできるなんて嬉しい限りです。お許しがあれば、水汲みでも何でもいたします」
いや~、上流階級の姫で、こんなおもしろおかしいキャラを作るとは...
私が知ってる限りでは、源氏物語以前の物語だと、おもしろおかしいキャラって身分の低い男性が多いものでした。
よくこんな女性キャラを作ったものです。(続く)