藤袴4 あの人が婿になるのは...
いよいよ玉蔓の宮仕えの日が近くなり、求婚者たちは手紙を取り次いでくれている玉蔓の女房に「なんとかしてくれ」と頼み込んでいます。女房たちは「滝をせき止めろというより難しい注文です」と言っています。
求婚者のひとり、ひげ黒の大将は玉蔓の実の父の内大臣にもアピールしています。「実の父上からOKをもらえれば」と考えています。
内大臣は「玉蔓の事は源氏の君に任せているので」と言っていますが「この人が婿殿というのはいい事だな」と思っています。
ひげ黒の大将は次期天皇の東宮(とうぐう)のおじなので、将来性は確かな方なのです。
しかし、源氏の君は大将が婿殿になるのを渋っています。
大将にはすでに奥様も子供もいます。3、4歳年上の奥様をばあさん呼ばわりして離婚したがっているのです。
そして、その奥様というのが、紫の上の腹違いの姉なのです。
源氏の君は紫の上の実家と仲良くありません。
源氏の君が苦しい時代に、紫の上の父宮は源氏の君を支援せず、紫の上に手紙すら送っていなかったのです。
そのため、源氏の君は今も紫の上の実家と距離を置いています。
そんな中、源氏の養女の玉蔓がひげ黒の大将と結婚したら...
紫の上の実家との関係がこじれそうなのは目に見えています。
もうすぐ十月、玉蔓の宮仕えも間近です。
次回から新しい章に入ります。