藤裏葉(ふじのうらば)1 美しい花への招待状
やはり夕霧以上の婿はいない。
こちらから折れるしかないな。内大臣(ないだいじん)腹をくくりました。
とはいえ、どう話をつけたものか。機会を探していた内大臣。そうこうしているうちに三月になりました。
今月は内大臣の母、大宮の一周忌。一周忌にあわせてお寺に参詣に行くと、夕霧も来ています。夕霧にとって大宮は母方の祖母で、自分を産んですぐに亡くなった母の代わりに育ててくれた人です。
夕霧に声をかける内大臣。
「そんなに私の罪をとがめないでください。この先老いて長くもない私なのですから...」
...えっ、なんでそんな言葉を?どういうことなんだろう?夕霧は疑問に思います。
そして四月。藤の花が美しい季節になりました。(この時代は旧暦です)
内大臣は藤の宴を開き、夕霧を招待します。
招待状には「美しく咲いた我が家の藤を見に来てください」
藤の花。暗に美しい姫、雲井雁(くもいのかり)を指しています。
まさかこの手紙は...でも勘違いかもしれないし...
夕霧は父の源氏の君に相談します。
「向こうから折れてきたようだね。お前が思っている通りだと思うよ」
ああそれから、その服の色だと身分が軽々しく見えるよ、と源氏の君。当時は身分によって着る服の色も決まっていました。
源氏の君、自分の衣装を取り寄せて息子をコーディネートしています。
久しぶりに初恋の姫に会えるんだから、ビシッと決めて行け。父心ですね~😃(続く)