少女4 うわさ話はこわいもの
「賢い方と思っていたけど、全然知らないのねぇ」
「今にとんでもないことが分かるわよ」
「雲井雁さまと夕霧さまがいい仲だってのは、みんな知ってるのにね」
「知らぬは親ばかりとは言ったものだわ」
な、何だと...!?立ち聞きしていた内大臣は驚きます。
そう、大宮の手元では夕霧も育てられていたので、夕霧と雲井雁は小さい頃から仲良く育っていました。十歳になる頃には、お部屋を別々にして育てられましたが、いつしか二人の間には恋心が芽生えていたのです。
お互いが交わした手紙が落ちているのを見て双方の女房たちは二人の恋心に気がついていましたが、わざわざ大宮に知らせる人はいませんでした。しかし、女房たちには公然の秘密となっていたのです。
「内大臣さま、ただいまお帰りです」という声に、先ほどひそひそ話をしていた女房たち
「えっ、今お帰りなの」「どこほっつき歩いていらしたのかしら」「あら、この香のかおり...ひょっとしたら内大臣さま!?」「もしかしたら、さっきの話聞いていたのかしら...」
ハイ、ばっちり聞いていましたよ...いやはや、うわさ話はこわいこわい...
内大臣は気がおさまりません。冷泉帝の中宮争いで源氏の君に負けてしまったが、相手は息子とはいえ、雲井雁のことでも源氏の君に先手を打たれてしまったと悔しげです。(続く)