松風2 家族の別れ
父の明石の入道は、この地に留まります。幼い孫が「おじいちゃん」となついているのを見ると、もう会えないのが耐えられないと思います。僧が物事に執着してはいけないと分かっていますが...
いよいよ出発となり、入道は娘に話します。
私は運がつたなく、こうした田舎で暮らすことになった。しかし、美しく成長したあなたを見ていて、こんな美しい錦を田舎に置いておくことを心苦しく思っていた。それが、嬉しいことに源氏の君と結ばれた。身分の違いで悩むこともあったが、姫君も生まれた。
あなたがたはこの世を照らす光なのだ。しばらくの間この田舎人を楽しませてくれただけのこと。
今日で永い別れとしよう。私が死んだとしても、後の法事など気にせんでよい。私は命尽きるまで、この小さな姫が良い運に恵まれるよう、朝夕祈っている。
そして、明石の君は住み慣れた地を離れました。
明石の入道が一緒に都に行かなかったのは、ある思いがあったからです。
でも、それはまだ後のお話。(続く)