蓬生4 藤の花に思い出す
末摘花は話し相手もなく冬を過ごし、春を迎えました。
そして四月。
源氏の君は花散里(はなちるさと)の君を訪ねてお出かけの途中、花の香りに気がつきます。藤の花が松の木に咲きかかっていました。見覚えのある場所...ここって末摘花の屋敷だな。彼女はまだここにいるのか?
人をやって様子を伺うと、出てきた老女は「姫様は今でもここで源氏の君をお待ちです。心変わりするような方なら、こんな草原は引き払っています。私どももこんな苦労はしません~」と大喜び。
源氏の君、さすがに自分が薄情だったと思い、急きょ末摘花を訪ねることに。
「松にかかる藤の花が、私を待っていますと呼んでくれたのですね」と源氏の君が言うと「花のついでにこちらを訪ねてきたのですか(こちらは長年待ちぼうけだったのに)」と末摘花。
その後源氏の君は再び末摘花の生活援助を始めました。もうダメだと去っていった女房たちもうわさを聞いて遠慮なしに戻ってきます。お屋敷は活気が戻って来ました。
末摘花は二年ほどこの屋敷に住んで、その後源氏の屋敷、二条院の東の院に迎えられました。
例の叔母さまは都に戻った後、末摘花の幸せを聞いて驚いたそうです。侍従も末摘花の幸せを喜びつつも、何で自分はもう少し辛抱できなかったと悔やんだとか。
なんか、末摘花は最初に登場したときは、鼻の長いおかしな姫様扱いだったのに、今回は人を信じて待つ不器用な姫様として、いい人として扱われていますね~。幸せになってよかったです。
次はもう一人、別の女性のお話です。