明石5 裁判にも詳しい弘徽殿大后(と紫式部先生)
その頃都では...
三月、源氏の君の夢枕に父院が現れた同じ日に、朱雀帝も夢に父院を見ました。院は、ひどく機嫌が悪く、朱雀帝をにらみつけました。それ以来朱雀帝は目を患っています。
さらに、右大臣が亡くなったり弘徽殿大后も病気になったりしています。朱雀帝は「源氏の君が無実の罪にあたっているからこんなことが起きているのではないか」と考えますが大后は
「罪に問われて都を離れた者が、三年もたたずに都に帰ってくるなど前例がありません!」と反対します。
千年前、政治は男の仕事でしたから、こうしたことを女が知っているのは珍しいことです。(女が余計なことを知っていると言う人がいるほどです)
こんなことまで知っているとは弘徽殿大后、なかなかの政治家です。そして、こんな大后を描けた紫式部先生も博識です。
しかし月日がたつにつれ、朱雀帝も大后も身体が弱っていきます。(続く)