若紫3 二人の逢瀬、実は...
夏の初め、藤壺は病気で実家に帰っていました。
源氏の君、またとない機会だと藤壺のもとへ。藤壺の女房、王命婦(おうのみょうぶ)をせめたて、どうやってこしらえたのか機会を作らせます。
そして源氏と藤壺は逢ってしまいます。が...
実は、二人がこういう仲になるのは今回が初めてではないようです。
本文には、藤壺が思いがけない逢瀬を後悔し、こんなことはやめようと思っていたとあります。しかし、最初の逢瀬の記述はありません。
源氏物語は、現在では失われた話があるそうで、そこに最初の逢瀬のことが書かれていると言われています。
そして、藤壺は源氏の子を宿してしまいました。
それにしても、この展開、発表された当時はどう思われていたのでしょう。
帝の妃で父の妃と密通し、みごもらせてしまった。いくら物語とはいえ問題ありとされなかったのでしょうか?されなかったから今に残っているのですが。
昭和の初め、源氏物語は皇族を侮辱しているとして苦境にたたされたそうです。源氏物語がなくなってほしいという意味ではありませんが、やっとか、という思いが私にはあります。終戦後、この動きはなくなったそうです。
帝には、もののけのせいで妊娠に気がつくのが遅くなったと報告されました。帝も世間も、そうなのかといった反応。もののけは便利な口実です。
帝の藤壺への寵愛は深まるばかり。源氏の君を呼んで琴や笛を演奏させます。源氏の君と藤壺は、この時何を思っていたのでしょう。(続く)