蜻蛉4 恋の喪失感を埋めるには
最近薫は、匂宮の母の后に仕える小宰相(こざいしょう)の君という女房と親しくしています。
この小宰相の君、匂宮も狙っていたのですが、匂宮は女好きと分かっている小宰相の君は匂宮を突っぱねました。
后は薫と小宰相の君の関係を知って「匂宮の困った癖を知っているのね」と微笑んでいます。
すると、ほかの女房が后に話します。
「最近、薫さまが亡くされた方は、匂宮さまの奥方の腹違いの妹だそうです。その妹に、匂宮さまがこっそり通われていたそうです。妹は板挟みになったあげく、姿を消してしまいました。川へ身投げしたらしいと仕える者たちが嘆いていました」
なんということかしら...后は驚いています。
一方、匂宮は新しい恋に走っています。最近評判の、宮の君(みやのきみ)という女性に熱心になっています。
ただ、宮の君は浮舟といとこにあたるので、もしかしたら浮舟に似ているかもしれないというので、熱心な一面もあるようです。
薫は小宰相の君との付き合いはありますが、宇治の女性たちの事を忘れることはありません。
宇治の女性たちと自分は、なんとも辛い縁だった。そこにいると思っても手に取る事はできず、見えたと思えばすぐに消えてしまう蜻蛉のような縁だった...
次回から新しい章に入ります。