源氏物語を楽しもう‼️

源氏物語の魅力を目一杯伝えたいブログ

蜻蛉(かげろう)1 パニックの宇治

浮舟(うきふね)さまがいない!

宇治の人々はおろおろしています。誰かに連れ去られてしまったのだろうかとパニックになっています。

浮舟の母からも「不吉な夢を見たので気がかりです。先に送った手紙の返事も届かないし、どうしたのですか」と手紙がきます。

 

そんな中、女房の右近と侍従(じじゅう)は、浮舟の遺書と思える手紙を見つけます。

薫と匂宮(におうのみや)との三角関係に浮舟が悩んでいたことを知る二人は(浮舟さまは川に見投げしてしまわれたか...)と嘆きます。

 

 

心配になった浮舟の母は自ら宇治にやって来ました。

右近と侍従は(どうしてこんな事になったと、みんながあれこれうわさをしたら浮舟さまの為にならない。せめて母上には事実を話そう)と決心します。

 

「実は、浮舟さまがここにいる事を匂宮さまに知られてしまい、二人は男女の仲になってしまったのです。浮舟さまはその事をたいそう悩んでいらっしゃって...」

浮舟の母は呆然とします。それでは、娘は川に見投げしてしまったのか...

 

せめて遺体だけでも見つけて、ちゃんと葬儀をしたい。母は言いますが、もはや浮舟さまは大海原の彼方だろうと右近たちは言います。

 

とにかく、浮舟に対する変なうわさが流れるのは本人の為にならない。ということで、浮舟の寝具や身の回りの品を車に詰めこんで、いかにも遺体があるかのようにして、急ぎ火葬を行いました。

また、下人たちにも、葬儀の様子を見聞きした者には固く口止めして、何も見ていない者には何も知らせない徹底ぶりです。

 

都の人は、決まった作法もしないで葬式をするのだろうか。地元の下人たちは首をひねっています。(続く)