浮舟8 浮舟の決断
誠意の薫と情熱の匂宮、どちらも選べず苦しむ浮舟。
こうなったら、自分ひとり、いなくなってしまおう。
昔話にも、二人の男どちらも選べず死を選んだ女の話があったことだし。
お母さまは悲しむだろうけど、他の兄弟姉妹の世話で忘れるだろう。
死を決意した浮舟は、後に残っては厄介な手紙を灯台で燃やしたり川に捨てたりして処分します。
一方、浮舟に匂宮が近づいている事を知った薫は、宇治に警備の兵を送ります。
そうとも知らず、匂宮が宇治にやって来ます。(しかし、匂宮は結構浮舟を訪ねてくるなぁ。薫も、もっと浮舟に会いに来た方がいいのでは...)
「おい、見慣れない男がいるぞ!」兵がざわざわしていて、匂宮は屋敷に近づけません。
なんとか女房の侍従(じじゅう)を呼んで、状況を知った匂宮。結局、浮舟に会えないまま帰りました。
自分の命は最後が近いと覚悟する浮舟。どうやってこっそり屋敷を抜け出すか、川を見つめながら考えます。
そこへ、母から手紙が来ました。
「昨晩、良くない夢を見ました。心配で、あちこちの寺でお経をあげていただいています。先程、昼寝の夢にも不吉な前兆を見たので、よくよく慎んでください」
自分が死を決意しているなんて母は知らないだろう。返事はこう書きます。
「生まれ変わっても、また、私のお母さまになってください」
そして、浮舟は遺書を残します。
「母に伝えて下さい。私の人生は終わったのだと...」
次回から新しい章に入ります。