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浮舟7 選べないから苦しい

薫から暗に「他にお付き合いする男性がいるようですね」という手紙が送られた浮舟。手紙は「宛先違いのようなのでお返しします」と送り返します。

変に思った女房の右近がこっそり薫の手紙を見て、状況を察知しました。

 

浮舟と匂宮の仲を知っている右近と侍従(じじゅう)は、浮舟に話をします。

右近には姉がいて、地方の長官の館で働いていました。姉には恋人がいましたが、新しい男が姉に言い寄ってきて、姉は新しい男に心が動いてしまいました。

すると、嫉妬した姉の恋人は、新しい男を殺してしまったのです。

恋人は国外追放。姉も騒ぎを起こした原因として、長官の館を追い出されてしまいました。

 

「身分の高い低いに関わらず、こういったことで悩むのはよくないことでございます。どちらかお一人に決めなさいませ。匂宮さまにお心が動いているのなら、匂宮さまを選んではいかがでしょうか」

 

右近や侍従は、私は匂宮さまに心が動いていると思っているのか。

そうじゃない。匂宮さまがあんなにも愛を訴えてくるのは胸に響くけれど、長い事頼りにしてきた薫さまをいまさら裏切りたくない。

こんな、苦しい思いをする人が他にいるだろうか...

 

「私は、ただ世間並にさえ生きていけないのだわ。なんとかして死んでしまいたい」

「まあまあ、そんなに思い詰めではいけませんよ」右近と侍従は言います。

 

一方、事情を知らない浮舟の乳母は、思い詰めて臥せっている浮舟を見て「もののけ(悪い霊)が浮舟さまを惑わせているのでしょう」と思っています。(続く)