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浮舟3 ゆらゆら

2月上旬になって、薫が宇治にやって来ました。まず仏さまを拝んでから、浮舟に会います。

 

薫は「愛しい、恋しい」なんてストレートに言う方ではありませんが、「いつもいっしょにいられないのが残念です」と言葉少なく語る様子が、かえって愛情の深さを感じさせます。

それに、将来末長く信頼できる様子は匂宮より上です。

 

匂宮に逢ってしまった自分が恥ずかしくなる浮舟。匂宮に逢ったことを薫さまに知られたら、きっと嫌われてしまう...

思い乱れている様子の浮舟を見た薫は(しばらく見ない間に成長された。寂しい山里生活で、いろいろ思う事があったのだろう)と感心します。まさか匂宮と逢ったなんて、思いもよりません。

 

「今、あなたの住まいを造らせていますが、大分完成しています。この春にもお連れしましょう」

薫の言葉に浮舟は(匂宮さまも、私を都に連れて行くとおっしゃっていた...いえいえ、匂宮さまになびくなんて、いけないことだわ)そう思いますが、匂宮の面影がちらつきます。

私はなんと、嫌な情けない女なのだろう...

 

もの思いからホロリと涙をこぼす浮舟。

「大丈夫。私たちの約束は朽ちることはないのだから」薫はなぐさめます。

 

本当に都の女性らしく成長なさった。浮舟をいとおしく思いながら薫は帰ります。

浮舟が変わったのは、匂宮に逢ったからなんですけど...そんなこと、夢にも思わない薫です。(続く)