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東屋4 落ち着く場所がない

「なんですって、匂宮さまが浮舟に近づいた!?」乳母から報告を聞いて、浮舟の母は気が動転します。

今回は何事もなかったそうだけど、万が一匂宮さまと深い仲になってしまったら、中の君さまに申し訳ないわ。

すぐさま浮舟の母は中の君の屋敷を訪れ「ご厚意に甘えすぎてしまいました」と言って浮舟を引き取りました。

 

浮舟が連れていかれたのは、三条にある小さな家。建てたばかりで設備も整っておらず、お庭に花すらありません。

継父の常陸介(ひたちのすけ)には露骨に継子扱いされ、姉の中の君の所にも居られず、あちこちさ迷う浮舟。「生きているだけで肩身が狭い」と浮舟はションボリしています。

 

そんな浮舟を訪ねて来た人が...薫です。薫と浮舟の仲を仲介した尼から「三条の小さな家にいる」と聞いて訪ねて来たのです。

 

あらあらどうしましょう。女房たちがあわてている間に、薫はすっと浮舟の部屋に入りました。改めて近くで見ると、期待に背かない女性だと薫は思います。

 

 

夜が明ける頃、薫は浮舟を宇治に連れて行くと言い出します。仮住まいの設備が整っていない家より、あちらの方がいいと思ったのでしょう。いきなり薫の自邸に連れて行く訳にもいかないし。

いきなりの事で女房たちは大慌て。なんとか女房がひとり、ついて行きました。

 

宇治に付いて、改めて浮舟を見る薫。

浮舟は、かつて薫が愛した大君(おおいぎみ)に顔はそっくりです。しかし、浮舟の服装が田舎っぽい点に(大君は気品があったのに)と思い、浮舟は琴を弾けない点に(大君は風情がある弾き方をしていたなあ)と思います。つまり、薫は浮舟ではなく、大君を見ているのです。

「どうしてあなたは田舎で育ってしまったのか...」薫の言葉に浮舟は恥ずかしくなります。

 

まあいい、田舎育ちなのに風流を知っているような顔をされるのは、品のないことだ。そんな人だったら大君の身代わりにならない。琴も、一人前に演奏できるよう教えよう。

 

 

なんだか、浮舟はあちこち連れ回されて、落ち着く場所がないですね。

薫はなんだか浮舟を「田舎育ち」と下に見ている感じがするし...

二人はうまくいくのでしょうか。それは次の章で。