早蕨2 中の君、都へ

いよいよ中の君は都に出発しました。これまで仕えてきた老女房の弁の君（べんのきみ）は尼になって宇治に残ります。

中の君を待ち受ける匂宮（におうのみや）は、自分が宇治まで行って迎えに行きたかったくらいですが、おおげさになるのでできず、残念に思います。

それでも、中の君が到着した時は自ら出迎えて丁重に扱います。

一方、大臣の夕霧（ゆうぎり）は、娘の六の君を匂宮に嫁がせる予定で、六の君の成人式の準備をしていました。

しかし、匂宮が中の君を自邸に迎えたことで、出鼻をくじかれた格好になりました。一応、六の君の成人式は予定通り行います。

匂宮にその気がないなら、いっそ薫に六の君を嫁がせようか...

人を介して薫の意向を尋ねたところ「世の中は無情だと分かったばかりで、そういうことに関心はありません」との返事。

匂宮といい薫といい、世間に名高い貴公子が、なんで大臣の娘に興味を持たないのだ...夕霧は不満に思います。

花盛りの季節に、薫は中の君を訪ねます。大君を思い出し、しんみりと話しをします。

話をすると言っても、すだれ越しの会話です。（当時の身分ある女性は、顔を会わせて話をする男性といえば父親か夫くらいです）

匂宮は中の君に言います。

「薫は昔からあなたの世話をしていたのだから、あんまり他人行儀にせず親しく話しなさい。

かといって、気を許し過ぎてもいけませんよ。なんだか下心があるようだから」

どうやら匂宮は、薫が中の君に気があると、カン付いてているようです。

中の君は平穏に日々を過ごせるのでしょうか。

次回から新しい章に入ります。