玉鬘3 なかなか都に帰れない...
こうして大宰府で暮らすことになった玉鬘。世間には「乳母の孫で、由緒ある人」ということになっています。
六年の勤めが終わってさあ都へ帰ろうとなった頃、乳母の夫が病で急死してしまいます。遺言で息子たちに「自分の葬儀などいいから、とにかく姫様を都へお連れしろ」と言いました。
しかし、一家を支える者を失ってしまい、なかなか玉鬘を都へ戻せぬまま、年月だけが過ぎていきます。
乳母たちは肥前に引っ越し、乳母の子供たちはそれぞれ土地の者と結婚して家庭ができています。
玉鬘は二十歳ほどになり、うわさを聞き付けた求婚者がぞくぞくとやって来ます。
特に肥後の豪族の大夫監(たいふのげん)というのがかなりしつこいです。しかも乳母の次男と三男を味方につけてしまい、ふたりとも「姫様は、こちらで結婚する運命なのでしょう」「あいつに睨まれたら、この地でやっていけませんよ」と言うありさま。
結婚の日取りまで決めそうな勢いの大夫監に恐れをなした乳母と長男は、思いきってこの地を脱出し舟で都へ向かうことに。長男と次女は、それぞれの家族を置いていく覚悟です。長女は、家族を置いていけないと残ります。一家離散となってしまいました。
なんとか都に到着しましたが、あてのない状況。さて、玉鬘どうなる?(続く)