薄雲4 最後に伝えたかったこと
年が明けましたが、今年は太陽や月、星の光り方がおかしく、世の中も騒がしいことが多いです。現代なら天文ショーだと楽しく騒げますが、平安時代は不吉な事の前触れと恐れられていました。
源氏の君のしゅうとの太政大臣(だじょうだいじん)が亡くなられて、世の中に悲しみと不安が広がっています。
そんな中、正月から藤壺は病気になられていましたが、三月には病が重くなっていました。
自分の最後が近いと覚悟する藤壺、病床で思います。
「皇女として生まれ、帝の中宮になり、子も帝位についた。女としての栄華を極めたけれど、満たされない思いも人一倍多かった...」
そこへ源氏の君がお見舞いに訪れます。藤壺は言葉をかけました。
「院の御遺言通り、冷泉帝を後見してくださったこと、ずっとありがたいと思っていました。何かの折に《心寄せことなるさま》を伝えたいと思っていましたが、こんなことになってしまい残念です」
心寄せことなるさま...
感謝の気持ちと解釈する訳もありますが、「心寄せる思いが人とは違う」→「あなたへの思いはその辺の人とは違う」→もしかして、藤壺は暗に恋心を伝えているのでは!?という解釈もあります。